確定申告と聞くと、毎年胃がキリキリしていきますよね。ですが、クリエイターでご飯を食べていく以上避けては通れません。
今回はドージン・ドット・タックスを展開しているSwitch税理士法人の水村耕史先生に税金、経費、確定申告について、疑問や不安をお聞きしてきました。
水村耕史先生について

1988年9月生まれ。29歳。Switch税理士法人 代表税理士。2016年に本サービスを設立。幼少の頃から競馬の騎手を目指すも高校時代に断念。18歳から会計事務所でアルバイトを始め、23歳で税理士試験に合格し都内の大手税理士法人に勤務。その後26歳でSwitch税理士事務所を開業。当時所属していた東京税理士会浅草支部で最年少の開業記録を更新。2016年に同い歳の鈴木雄平税理士とともにSwitch税理士法人を設立。
ドージン・ドット・タックスとは?
ドージン・ドット・タックスのテーマは「作家が創作活動にだけ集中できる環境を作ること。」
作家さんにお願いしていることは、毎月こちらで用意した専用の封筒に領収書や売上報告書を入れて郵送することだけ。
現在では200名以上の作家さんが利用している。(うち女性向け作家さんが6割を占める。)作家に特化した確定申告サービスでは国内最大である。
また士業のつながりで、若手社労士や弁護士とも連携しており、最近では最適な社会保険への加入のお手伝いや編集者からのパワハラなどの相談も彼らと連携して取り組んでいる。

ドージン・ドット・タックス、超オススメなので紹介記事書きました!→クリエイター向け確定申告サービス「ドージン・ドット・タックス」が便利すぎる!
水村先生のクリエイター税金講座!
今日はどうぞよろしくおねがいします!早速質問なんですが、そもそも確定申告っていったいなんなんですか?どんな人が確定申告を行う必要があるのですか?
確定申告は憲法で定められた納税の義務を行うための手続きで、フリーランスや同人作家などで所得が年に38万円を超えた人が行う必要があります。所得というのは収入(売上)から経費を引いた金額です。
所得が年38万円以下は考えにくいので、フリーランスなら絶対にしなきゃダメですね。例えば、会社員をやっている人が副業で同人活動をした場合も38万円を超えなければ確定申告しなくても大丈夫ですか?
会社員やアルバイトなどで一つの会社からのみ給与をもらっている人は、同人活動で年20万円を超える所得があると申告する必要があります。
金額がちょっと違うんですね。ここは勘違いしている人が多そうです。これすごく聞きたかったんですけど、同人活動の経費って印刷費くらいは認められるんですか?
同人誌の場合は印刷代だけでなく、売り子さんやゲストさんに支払った謝礼や、イベント参加費、イベント会場までの交通費まで経費と認められます。
えええ!結構認められるんですね。今は
水村先生のドージン・ドット・タックスでやってもらっているので大丈夫ですけど、昔、無料相談で税理士さんに相談したときはダメと言われて、売り子代とか交通費は経費にしてませんでした。。損してました…悔しい…

そういえば最近、学生さんでも絵のお仕事をバンバンしている人がいますけど、学生さんも申告する必要ってあります?
あー、この辺勘違いしている人たくさんいるんですけど、学生さんだから確定申告しなくていいとかはないです。
年齢問わず、所得が年38万円を超えると申告する必要があります。絵の仕事の場合はアルバイトと違って、給与ではなく、外注作業である事がほとんどですので、事業所得や雑所得の申告が必要なケースがほとんどですね。
僕は学生のときから申告してましたが、やはり必要があるんですか!そういえば、確定申告をしないとどうなるんですか?
税務調査といって、税務署から収入の状況を根掘り葉掘り調査されます。しかも過去5年分を調べられるので、例えば1年に100万円税を収めるべき人が5年間収めていないという場合は、500万円+利息などで600万円ほど一気に請求されますよ。
600万…くらっときますね。。過去5年分まで調べられるんですか。。ちなみに、絵のお仕事や同人などの収入ってこっそりやっていてもバレるんです…?
バレるバレないで言ったらバレないこともあると思います。ただ、絵の仕事などは、会社から年末に支払調書をもらえますよね。これは、作業者だけでなく、国にも同じものが提出されています。なので誰がどれくらいもらったのかは税務署に把握されます。
最近は同人活動も結構しっかりチェックされていると実感してます。
税理士を雇う強みは、税務調査のときに最も発揮されます。税理士がいれば仮に税務調査があった場合でも、本人の代わりに対応することができます。税理士がいない場合はクリエイターと税務署が対応することになるのでかなり辛いですね。
専門家VS専門家みたいにしてくれるんですね!素人VS専門家は勘弁してほしいです…!こういう話を聞くと税理士さんに頼みたい人が多くなると思いますが、どれくらいの収入があると税理士さんにお願いしたほうがよくなるんでしょう。
年500万以上の売上がある人は税理士に依頼したほうがいいでしょう。それ以下の人でも、確定申告書を作るなど苦手な事をするより、税理士に任せて、その分多く仕事を入れたりするなどのほうが結果的に得であることもあります。精神的にも楽ですしね。
わかります!僕も税理士さんに頼む前は年明けたあたりから憂鬱になりましたもん。プロに任せると安心感が違います。ドージン・ドット・タックスさんはファイリングした控えがもらえるので、ローンの審査などで若いのにキッチリしてますねと言われたことがあります。

やはり税理士がついていると、
会計管理などがしっかりしているとみなされて申告書の信用度が上がる傾向にありますね。プロが作った申告書と思っていただけているのでしょう。
ありがとうございました!ここからはTwitterから募集した質問をお聞きしますね!まずは皆さん気になる経費から。家賃や電気代、水道代は経費になるんでしょうか?
自宅を事務所としてる場合は家賃、電気代、水道代などを経費にしてOKです。ただし、自宅の場合は全額というわけでなく家事按分といって事業に使った分を割り引く必要があります。
家賃や電気代は知ってましたが、水道代までいいんですか!?自分でやってたときは水道代は経費にしてませんでしたよ!また損した!
仕事していたら必ずトイレなども使うでしょう?だからいいんですよ。家事按分などは税理士に依頼すると最適に調整してもらえます。
自宅で集中できないからファミレスなどで仕事をする人もいると思うんですけど、そういう人は喫茶店やファミレスの代金も経費にできるんですか?
例えばファミレスで仕事して、そのレシートをもらい忘れた時などはどうにもなりませんか?
基本は領収書やレシートが必要ですが、もらい忘れた場合は出金伝票を書くとよいです。100均で売っています。最悪、メモでもOK。とにかくしっかりと記録を残しているというところが大切です。
僕はゲームのお仕事が多いんですが、例えばPS4のゲームを買ったり、ソシャゲの課金って経費にしても大丈夫なんでしょうか?もしかして同人誌も経費になりますか?
ゲームやソシャゲの課金ですが、youtuberなど、課金動画をアップしている場合などその課金が直接収益に結びついている場合には経費にして差し支えないと思いますがイラストに使いたいという理由だけでは、ほかにもっと安い金額で同じイラストを手に入れることができなかったのかと税務署から疑問を呈されることはあると思います。
なるほど、ソシャゲのイラストを資料としたいのであれば、無料で見ることもできますものね。僕は背景を描くことが多いので、資料集めのために取材に行く時があるんですけど、取材旅行で使った費用はどの程度経費になりますか?
取材のための旅費は経費になります。その場合は取材旅行の工程表を書いて残すのが望ましいです。ただ、旅行と洋服は税務調査で特に厳しく見られるポイントなので気をつけてください。
うーん…自分で申告だとちょっと怖いですね。税理士さんに任せててよかった。。。
売り子代なども経費になるとお聞きしたんですが、同人誌のゲスト謝礼も経費になりますか?あと、個人間のやり取りでも源泉徴収が必要になると聞いたことがあるんですけど…
ゲスト謝礼も経費になります。源泉徴収はフリーランスや経営者で人を常時雇っていない人はする必要はありません。ただし経費にするためにお金のやり取りを記録に残す必要はありますので、ゲストや売り子さんに請求書を作ってもらうのがベターです。
僕などはフリーランスで人は雇っていないので源泉徴収する必要はないんですね。安心しました!記録に残すのが大切ということは、同人誌のイベントでの売上も、単価と販売数などをメモっておけばいいんでしょうか。
はい、ドージン・ドット・タックスではこんな感じの表に記入してもらってます。イベントでの売上もしっかり申告する必要があります。
最近、pixivFANBOXなどのパトロンサービスが流行ってますが、こちらでもらったお金も申告する必要があるんですか?あるとすればどんな項目で計上すればいいんでしょう。
Entyとかもありますよね。基本的に事業所得で申告する必要があります。
同人ゲーム、インディーゲームの作家さんも増えていますが、そのあたりに詳しい税理士さんはいますか?
Amazonでほしいものリストを公開している人もいますが、そこから何かを送ってもらった場合は贈与税がかかるんですか?
もらったものの金額が110万を超えると贈与税がかかりますね(笑)
最後の質問です。絵描きは目を酷使するのですが、サプリやホットアイマスク、目薬などは経費になるでしょうか?
目薬などは経費にはなりません、事業に直接関連していないとみなされます。このへんはサラリーマンの人と平等にするためにそうなっていますね。
確かに目薬やサプリまで経費にできると会社員の人と差がありすぎますもんね。
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今回お聞きした内容のまとめ
- 給与をもらっていない人(フリーランスや同人作家)は年38万円の所得を超えると申告の必要がある。
- 学生も所得が年38万円を超えると申告する必要がある。
- 会社員、アルバイトなどで給与をもらっている人は副業(同人や絵の仕事)で20万円の所得を超えると申告の必要がある。
- 同人作家は印刷費、ゲスト謝礼、売り子代、イベント参加費、交通費、宿泊費を経費にできる。
- 人を常時雇っていない人はゲスト依頼、売り子代などから源泉徴収しなくてよい。
- 同人イベントでの売上は単価と販売数などを記録し、申告する必要がある。
- フリーランスが税理士に依頼すると、社会的信用度が上がる。
- 自宅を事務所としている場合、家事按分すれば家賃、電気代、水道代などを経費にしてOK
- ファミレスや喫茶店で仕事をした場合は、食事代を経費にできる。
- レシートをもらい忘れた場合は出金伝票かメモを書けばOK
- 取材旅行の旅費は経費になるが、工程表を書くのが望ましい。
- pixivFANBOXなどのパトロンサービスのお金は事業所得として申告する必要がある。
- 目薬やサプリなどは経費にならない。
今日はありがとうございました!同人作家などの税については調べてもなかなかでてこないので、大変貴重なお話が聞けたと思います。色々聞いて思ったのがやはり、難しい事はプロに任せたいなぁということですね。
ありがとうございます!税の話はかなり複雑なところがあるので無理に自分でやるより、あくまで本業の作家活動を重視したほうが色々といいと思います!ドージン・ドット・タックスは2018年度の募集を開始していますので、ぜひご依頼ください。
ドージン・ドット・タックスへのご依頼はこちらから
おまけ
税理士さんに頼むほどでもないから自分で確定申告したいという人は、水村先生が書いたこちらの本を参考にしてみてもいいかもしれません!