駆け出しイラストレーターが背景を描くべき理由
- 2018.09.08
- 初心者向けの記事

最近の背景いいぞ!のツイートがバズりました
どうもゲームからアニメ、漫画まで業界の方が多くRTしてくださったようですね。やっぱりどの業界も背景マンの不足は深刻なようです。
ゲームもアニメも、あらゆるコンテンツで背景を描ける人が不足してます。これから絵描きになりたい人はとにかく背景を練習しとくといいです。背景は描くジャンルが広いので、キャラやメカ、モンスター、コンセプトアート、設定画など派生するスキルやお仕事も豊富です!背景はいいぞ!
— よー清水🐈新刊委託中 (@you629) 2018年9月6日
良い機会なので今回はなぜイラストレーター(特に駆け出しさん)が背景を描くべきか熱く語ります!
表現力と引き出しUP
背景はとにかく何でも描く必要があります。空や草などの自然物、教会やビルなどの人工物、あらゆる時間帯、あらゆる気候を表現しなくてはいけません。ぶっちゃけとても大変なのですが、その分なんでも描ける引き出しの広さと、表現力を手に入れることができます。背景を描く表現力は、例えばキャラクターの服や小物の質感、モンスターの立体感、メカの金属光沢や傷まで、他のあらゆる絵に応用できるのです。
視線のコントロールテクニックが身につく
背景付きの絵は明確に、「どこを見て欲しいか?どのように視線を誘導するか?」を意識する必要があります。つまり見た人の視線をコントロールするわけです。これができている背景は自然で奥行きが感じられるものになります。
視線のコントロールは本当に、めちゃくちゃ重要で、これができるだけで絵のレベルがぐんと高くなります。どこを見てほしいかが明確なので、視線がブレず、絵で伝えたいことをバシッと伝えることができます。白地にキャラだけしか描かない場合は、キャラのみに視線が集中するので、見た人の視線はあまり意識しなくてよいため身につきにくいスキルなのです。でも実は高レベルな絵描きさんは白地にキャラだけでも、ポーズや構図だけで視線をコントロールしてるんですけどね。
ライバルが少ない
背景を描ける人は絵描きの中でめちゃめちゃ少ないです。逆にキャラクターを描きたいという人はめちゃくちゃ多いです。でも、考えてみてください。背景がないゲームやアニメ、漫画ってないでしょう?ほぼ全てのコンテンツで何かしらの背景が必要とされるのです。背景はキャラなどに比べると目立ちませんが、必要とされる枚数は非常に多いのです。やりたがる人が少ないのに、必要とされる量が多い。圧倒的ブルーオーシャンなのです。背景が描けると仕事に困りにくいというのは間違いないです。
2D背景(背景イラスト)は3Dに駆逐されるか?
数百億単位で予算があるハリウッド映画でも、できるだけマットペイント(写真を使った2D合成絵)で絵作りしています。モデリングは仕事に使えるレベルになると非常にコストがかかるので、2D背景が完全になくなるということはないと予想しています。また、仮に3D背景オンリーになったとしても基本はシーンの見栄え、つまり絵作りの力が要求されるので、2D背景やってきた人であれば3D背景も対応しやすいはずです。そもそも僕が専門とするコンセプトアートは、2D背景イラストで雰囲気やオブジェクトの配置を探り、3Dでモデリングするための設計図を描くという用途で使われることが多いです。
ちなみに僕は3DよりAIによる2D背景の自動生成がヤバイのでないかと思います。特に合成元の写真がある現代背景やフォトリアル背景は…しかしAIはパターンは作成しますが、パターンの中からどの絵が良いか最終的に選択したり、実際にコンテンツに使えるようにレタッチする必要はあるのでやはり2D背景需要は完全になくなるということはないでしょう…たぶん。
良い案件に関わりやすい
「背景は作品の品格」と宮崎駿監督はおっしゃってました。まさにそのとおりで、背景にお金をかける作品は作品全体の予算が高いことが多いです。「クソ案件が来なくなる5つの方法」でも言いましたが、予算が多い作品は報酬が高く、あらゆる意味でストレスフリーで仕事ができます。広告宣伝予算も多いので、実績となりやすいのもいいですね!
信用を得るためのツールにできる
ここが1番大切です。この記事で最も大切なポイントです。
背景を描くことで、入りたい組織に所属し、やりたい仕事ができるようになるのです。
背景はどこも人手不足なので、欲しがっている会社が多いです。なので、例えばキャラクターデザイナーなどより圧倒的に企業や案件に潜り込みやすいです。
本当はキャラを描きたいけど、背景で企業に入ってしまったら、どうやったらキャラを描けるようになるのでしょう?
キャラを描きたい!でも信用がない場合
(こいつ実績ないけど納期を守るのか?欲しいものを出してくれるか?作品に合わせてテイストを変えられるか?SNSで炎上しないか?突然行方不明になったりしないか?)
仕事を依頼する相手は不安でいっぱいです。これはどんなに絵が上手くても変わりません。不安を解消するのは絵の技術ではなく、仕事をやったという実績のみです。あの仕事をやってたならこの仕事もちゃんとこなしてくれるだろうと相手は考えるわけです。
背景を描いて信用がある場合
(こいつはいままで納期を守って丁寧な仕事をしてきたな、だったら今回もしっかりやってくれるだろう。ぶっちゃけ新しいイラストレーター見つけて連絡してスケジュール取るのめんどくさいし…)
あまり人がやりたがらない分野で組織に貢献し、この人はしっかり納期を守って丁寧に仕事するな、と相手に思ってもらう。そういうタイミングで、実は僕こういうのもできますよと自分やりたい仕事をアピールする。こうして自分が本来やりたい仕事をゲットするわけです。
実際、今はキャラクターデザイナーをしていたり、コンセプトアーティストとして活躍している人も元は背景を描いていたという人が結構多いんですよ。
背景が描くのが好き!やりたいって人は俺TUEEEE状態なのでそのまま頑張りましょう。
ちなみに、背景以外でも「3D背景モデラー、アニメーター、エフェクト、モンスターデザイナー、武器デザイナー」などなどはどこも人手不足なので狙い目です。
さあ僕の本を買って背景を描こう!!!!!!!
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